なんともない、とある日。
大学卒業間際の明美は、ドライブの帰りで目に留まった大きめのディスカウントスーパーマーケットの駐車場に車を停めた。こんなところにこんなものがあったのかと物珍しそうに建物を見ながら、その小さな入り口から立ち入った。
入り口の近くに設置された買い物かごを手に取り、腕に掛ける。
「中も広いな~!」
もちろん大型のショッピングモールにも良く行く。天井の高いホームセンターも然りだ。しかし明美のテンションを上げたのは、本人の自宅からの近さである。
見るもの全てに見覚えはあるが、あたかも初めて見るように興味津々で店内を徘徊する。
「え、うそ……うどん一玉十五円……!?安っ!」
その信じられないほどの価格のうどんを握り締め、震えるほど感動する。今度は大慌てで豆腐を拾い上げる。
「豆腐二十円!信じらんない!」
明美は豆腐を置き、改めて店内を見回し、何ここ……!?と心の中で問いかけた。
主婦ではないが、少なくとも一人暮らしをしている明美は、ディスカウントショップの有り難味を嫌と言うほどに痛感している。故に、その安さに対する感動から、テンションが弾けて宇宙まで飛んで行ってしまいそうであった。
「ちょっと、待ってよ!」
「何で!?こっちだよ!」
感動していた明美の視界に、キャッキャと笑いながら走り抜ける二人の子供が目に映った。男の子が十歳くらいで、女の子もそれに近い歳に見えたが、恐らくは年下である。
明美は辺りを見回した。
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